時悠帖・五差路

まだ若いつもりでいたがついに老いを隠せなくなった爺の 時悠生活雑記

君と一緒にきみを

今夏シーズン初めてだった。きみを食べたのは。

きみといっても"君"ではなく、トウモロコシのことである。
むしゃむしゃとむしゃぶりついて、まず最初に2~3列を食べる。
引き続きむしゃぶりついて残り全部を食べてもいいが、食べたあとが極めて見苦しくなる。
だからその後は、下側の歯で数粒を下から上にひっかけるようにして1列ずつ片付けていく。
食べ終わったら、最初に食べた2~3列の見苦しい部分を下にして戻す。ごちそうさま。
一方、カミさんは1粒ずつ取っていく。最初はとても取りにくいとは思う。
1列が終わっても私のように歯を使うことなく、その後も数粒ずつ手指で取り外していく。
とても満足そうに、時間をかけて。食べ終わりはきれいである。
食べ終わった私がじ~っと見ていると、食べる?と聞いてくれることもある。
ああ、きみに幸せを感じるとき。
きみが大好き、という人と一緒になれてよかった、とこのときは思う。

母が庭先で取ってきたきみを、皮は全部むかずに大きな鍋の中へ、茹で上がってから皮をむく。
それを熱い熱いと言いながら食べた。
何粒くっつけたままきれいに列から取り外せるか、兄弟で競争をしたりして..
そろ~っと置かれた数粒の長い列、それをチョンと突っついて、くっついてないじゃないか、
と言い合ったりして.. 子どもの頃のそういう思い出。

ところで、むしゃぶりつくとは、感情が激して激しい勢いで抱きつくという意味であり、
従来は食べ物に関しては使われなかった、とのことである。

日本語、どうでしょう? - “むしゃぶりつく”ことができる対象は? -