時悠帖・五差路

まだ若いつもりでいたがついに老いを隠せなくなった爺の 時悠生活雑記

「量刑」

自分が安全運転しているつもりでも、どんなに気をつけていても、交通事故の当事者になってしまうことがあります。
駐車場から急に出てきた。走行中の自転車やバイク・歩行者が突然車の前に倒れてきた。信号が黄色に変わったので焦って..。青色だからと進んだら信号無視の..。など、事故の原因はいろいろです。
自車が動いている限り過失ゼロにはならない、と言われます。対物事故の過失がどんなに小さくても相手車によっては割に合わなくなることがあります。ましてや人身事故の場合には.. 加害者・被害者ともにいいことはありません。
速度は控えめに、確認は十分に、万が一ということも考えて.. 車は急には停まれない。
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ある30前半の女性が焦りと不注意から人身事故を起こしてしまった。被害者はすぐに救護すれば助かったかもしれない母子であったが、そう出来ない事情があった。結果的にその二人を死に至らしめ、そして遺棄してしまう。殺人・死体遺棄事件の被告人になってしまったのである。死刑か無期懲役か、その量刑を合議する途中、新たな誘拐事件が発生した。
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夏樹静子の「量刑」を読みました。

私自身、運転していてヒヤッとしたことが何回かあります。
そういう身近に起こり得る交通事故、加害者・被害者その他関係者がわかっている中で、話は展開していきます。
犯人を推理するのではなく、大きなどんでん返しがあるわけでもなく、関係する人々の心もよう・行動が描かれています。
普段接することのない法廷・公判の様子も描かれており、参考になります。
加害者は人、被害者・家族も人、人を裁く裁判官も人、人の心なんて脆い、頭の中ではわかっていてもいざとなったら.. 揺れ動く心と覚悟。。(感想:★★★)